ドラマ半沢直樹といえば”倍返し”ですが、ドラマの世界から出た実際の世界で、「やられたらやり返す。倍返しだ!」をする事が出来るのかどうかを今回もと銀行員の目線で解説します。
この記事でわかる事
・派閥争いの恐怖
・不正融資やとんでもない上司の存在
・実際の世界で倍返しをするとどうなるのか
半沢直樹の概要
『半沢直樹』(はんざわなおき)は、2013年7月7日から9月22日までTBS系「日曜劇場」枠で放送された、池井戸潤の小説「半沢直樹シリーズ」のテレビドラマ化作品である。主演は堺雅人。
『オレたちバブル入行組』をベースとする第一部・大阪西支店編と、『オレたち花のバブル組』をベースとする第二部・東京本店編の前後編二部構成[1]。
キャッチコピーは「やられたらやり返す、倍返しだ!!」、「クソ上司め、覚えていやがれ!」。
引用元:Wikipedia
※『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』をもとにした半沢直樹第2シリーズが、2020年4月に公開される事が決定しています。
銀行の派閥争い
ドラマ半沢直樹の世界で派閥争いが描かれていましたが、実際の銀行でも派閥争いはあるのか、解説します。
先に結論を述べますと、派閥争いあります。
というのも今の銀行の多くが昔あった銀行の集合体だからです。
ちなみにメガバンクで言うとこんな銀行の集合体になっています。
三菱東京UFJ銀行 |
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三井住友銀行 |
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みずほ銀行 |
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もちろん地方銀行でも合併した銀行は多いので派閥があると思われます。
また現状の銀行業界の不況ぶりから今後さらなる吸収合併が進んでいくものと予想されています。
合併が行われる前の最近銀行に入った銀行員は派閥争いに巻き込まれることは少ないのですが、合併前から働いている銀行員の多くが派閥を意識し、今も争っています。
「あの人は旧〇〇銀出身だから仕事が出来ない」「あの人は旧〇〇銀で働いていたから動きが遅い」などの派閥を意識した悪口はかなりの頻度で耳にします。
最近入行した銀行員からすると「うんざりするから辞めてくれ…。」と言うのが本音なのですが、直属の上司が所属していた銀行に肩入れしないと目を付けられかねないので、真剣に話を聞くしかありません。
おそらく中には合併後は派閥関係なく仲良くして行こうという考えの人もいるのですが、「合併前の違う銀行の方を持つのか?」同じ銀行出身の上司に詰められかねない恐怖から、表面上は派閥に参加しています。
こうした直属の上司への肩入れや詰められかねない恐怖から派閥に参加している人も含めるとほとんどの銀行員が派閥争いに参加している事になり、かなり長期的なスパンで見ない限りは、恐怖の派閥争いは今後も無くならないでしょう。
銀行の不正融資
流石に不正融資は見た事がありません。
ただ3月や9月の決算期にノルマを達成する為、『財務内容が乏しくて本当ならあんまり貸したくないような先への融資』や『融資を必要としていない先への融資』なら見た事があります。
一応決済を取れているので、問題は無かったのですが、冷静にフラットにノルマの事を考えずに融資するかしないかを判断すれば、融資をしない選択をしていたと思います。
3月と9月の決算期は融資案件が混み合い、審査する部署も忙しい為、部長や支店長クラスの人が融資を通そうとゴリゴリ押し込みます。
正義を貫く半沢直樹であれば、絶対に融資を通していないかもしれませんが、上が通せと言ったら、部下は死ぬ気で融資する為の稟議を通します。
これは半沢直樹と実際の銀行での大きな違いかもしれませんね。
とんでもない上司の存在
半沢直樹の世界ほどではないのですが、実際の銀行にもとんでもない上司はたくさんいます。
例えば、手柄を横取りし、ミスを押し付ける人は意外にも多いです。
実際僕自身何億という融資案件を最後の所で掻っ攫われた事がありますし、お客さんとのトラブルの責任転嫁をされた事がありました。
自分のミスを認めたくない変にプライドの高い人や、出向を恐るあまり自分が減点されるような事は全て部下に押し付ける人、出世する為に部下の手柄を自分のものにして自慢げな人など銀行には通常の企業では考えられないような人が多くいます。
半沢直樹であれば間違いなく倍返しをしていると思いますが、僕を含め多くの銀行は実際に行動には移せてないでしょう。
では、なぜ行動に移せなかったのか、実際に倍返しをするとどうなるのかを次に解説します。
実際に倍返しは可能か
実際に倍返しをする事はきっと不可能です。
少なくとも上司の不正を暴いて、上司に土下座させるという事は無理でしょう…。
なぜ無理かというと、銀行員は保身に精一杯だからです。
「もし上司に逆らったら、左遷されそう…」「上司にたてついたら、この支店に居所が無くなる…」
という風にまず自分の将来のことを考える為、リスクがある行動を避けます。
また実際に人事評価を行うのも上司の為、最低評価をつけられでもした場合、今後の出世は望まなくなりますし、実際に島流しにあってしまうでしょう…。
なので銀行員が半沢直樹を見ると、「よくここまでできるなー」「怖いものなしかよ…」と思ってしまうはずです。
できる仕返しといえば、せいぜい同期で愚痴を言い合ったり、ネットに悪口を書き込んだり出来るくらいで、直接的な仕返しは出来ません。
それだけ上司の持つ権力や周りからの信頼感には逆らえないのです。