【副業・兼業時代】銀行の今後を予想 | 本当の狙いや思わぬ弊害とは?

2019年6月4日(火)にみずほ銀行から驚きのニュースが発表されました。

 

その内容は以下の通りです。

みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長(59)が3日までに共同通信のインタビューに応じ、2019年度内に人事制度を改定し、希望した社員の副業や兼業を認める考えを示した。ベンチャー企業やメーカーで働く経験を生かし、みずほFG内で新しいビジネスを創出できる人材を育成する狙い。

現在は副業や兼業は禁止しているが、守秘義務や会社の承認などのルールを整備した上で容認する。坂井氏は「全員がスペシャリストになれるよう、多様な挑戦機会をベースに、自分を磨いてほしい」と述べた。

既に実験的に大手メーカーに週1回、出向している社員がいると明らかにした。

引用元:Yahoo!ニュース

副業を可能とする企業が徐々に増えていたので、いつか銀行業界にも訪れるニュースだろうと予想はしていましたが、正直こんなにも早く解禁されるとは思っていませんでした。

 

今も銀行で働いている同期にこのニュースが出た直後連絡を取ったのですが、行内では1日中このニュースで持ちきりだったようです。

 

  • そもそも個人や企業の情報を扱い、守秘義務のある銀行が、副業や兼業を解禁して問題は発生しないのか?
  • 副業や兼業をすることで、本業が疎かにならないのか?
  • 申請する事で副業や兼業を出来るという事だが、申請出来る雰囲気が行内にあるのか?

 

このような疑問を持っている方がたくさんいると思います。

今回この記事では、元メガバンク銀行員の立場から上記の疑問の行く末を予想するとともに、今後の銀行業界の働き方はどうなっていくのかを考察していきたいと思います。

 

銀行の副業・兼業解禁の本当の狙い

まず、みずほ銀行の副業・兼業解禁の本当の狙いはどこにあるのかを考察していきます。

みずほFGの坂井社長のインタビューを見る限りでは、本音建前があるように感じました。

 

というのも以下のインタビューに本音が見え隠れしています。

革新的な分野では、取引先から経営管理ができる若手、シニアの需要はものすごくあります。そこに人材を供給し、その後は銀行に戻ってきてもいいし、取引先に行ったきりがあってもいい。行ったきりというのは、シニアだけでなく、若い人も含めてです。

今までは、(取引先に出向する銀行員の)「中途退社」をタブー視する風潮もありましたが、そうではなく、むしろ、みずほの人的ネットワークを、社外につなげて、そこに対して我々がサポートしていきたいですね。みずほを卒業した後も、みずほで働いたキャリアが生きるという仕組みを作ることが大事だと考えています。

引用元:日経ビジネス

「若い人も含めて取引先に行ったきりがあってもいい。」これは若手銀行員に対する片道切符を意味していると思います。

 

つまり「建前」と「本音」は以下のような感じです。

建前ベース

 新しい働き方を提供します。

 非・金融の新しい領域にチャレンジします。

 定年退職や新規採用を調整する自然減だけで、リストラは予定にありません。

 

本音ベース

 副業や兼業を解禁するから自分の身は自分で守ってね。

 ビジネスに成功したらそのまま出て行ってもいいからね。

 本当は経営が厳しいから首を切りたいけど、社会の目が厳しいから察してね。

元銀行員の自分にはこのように感じました。

銀行で働いている友人は「若手銀行員内で転勤の話題がすごい」と言っていたので、やはり今働いている銀行員も薄々身に迫っている危機を感じているようでした。

 

 

銀行の副業・兼業解禁で生じる弊害

個人や企業情報の行方

銀行といえば、お客さんのかなり大切な個人や企業情報を扱っています。

ただ、今回副業や兼業を解禁した事で、今後守秘義務が守られないのではないかと心配している方も多いと思います。

 

そこで、今後も個人や企業情報は守られるのかどうか考察していきます。

結論を言ってしまうと、おそらく守られます。

 

あくまでも予想なので断言は出来ませんが、そう考える理由が2つあります。

1つ目の理由

坂井社長のインタビューで、「銀行が保有する顧客情報を本人了承の上で企業に販売をする」という事を名言している為。

つまり了承しなければ今後も守るという事です。

ただ銀行としては、了承なく情報を販売したいというのが本音だと思います…。

以下がインタビューを一部抜粋したものです。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長が毎日新聞のインタビューに応じ、銀行が保有する顧客情報を本人の了解を得たうえで企業に販売する「情報銀行」に参入する考えを明らかにした。人工知能(AI)やビッグデータを組み合わせた中小企業向けの新たな融資手法によって、低迷する国内資金需要を掘り起こす考えも示した。

引用元:毎日新聞

2つ目の理由

FXや株が解禁されていない為。

当然といえば当然ですが、インサイダー取引を防ぐ為に銀行員はFX禁止ですし、株も原則禁止となっています。

副業・兼業を解禁するくらいなら、FXや株を解禁してくれよと言うのが銀行員の本音だと思いますが、銀行に大事な情報を預けている企業や真面目にトレードしているトレーダー目線だと安心ですね。

 

本業が疎かになる可能性

副業や兼業を解禁する事で、本業の銀行業務が疎かになる可能性は非常に高いと思います。

土日を使っての副業ならまだ問題ないと思いますが、みずほ銀行の考えている、週3日は銀行で週2は銀行以外の業務といった兼業はおそらく本業が疎かになります。

ただでさえ忙しい銀行員が、他業種の仕事を1から学んで仕事をするのはハードルが高く、二足のわらじを履いて働いている姿は現状ではとても想像が付きません。

 

銀行に大事な資産を預けているユーザー目線からしても、本業をしっかりと頑張ってほしいと言うのが本音だと思います…。

もしも本格的に兼業をすると言う事であれば、銀行側のバックアップが必要ですし、兼業が容認される雰囲気作りは欠かせないでしょう。

 

副業や兼業は実際できるのか

実際のところ、副業や兼業に踏み出すまでに時間がかかると思います。

と言うのも銀行は、例えるなら小さな国の集合体だからです。

 

銀行はそれぞれの支店で国を作っています。部長や支店長に当たる人が王様としましょう。

王様(部長や支店長)が副業や兼業をよく思っていないのであれば、国民(行員)は兼業を副業をしません。

もし誰かが副業や兼業を始めたいと申請したものなら、支店の行員全員から冷たい目で見られ、軽蔑されてしまいます。

 

本業の銀行業務がやりづらくなっては本末転倒なので、本部からのかなり強いバックアップが無い限りは副業や兼業申請する人はなかなか現れないでしょう。

部長や支店長も自分の支店の成績が第一であり、自らの昇進や昇給に関わっている為、支店の成績が下がる可能性がかなり高い副業や兼業を認めないのでは無いでしょうか。

 

以上の理由から、副業や兼業に踏み出すまでにはある程度の時間がかかるものと想定します。

 

 

他の銀行も副業や兼業の解禁へ

新生銀行は早くから副業や兼業を解禁していましたが、メガバンクの一角である「みずほ銀行」の副業や兼業が解禁された事で、より一層解禁の流れが強まるものと予想しています。

今後はメガバンクだけでなく、経営状況が良くない地方銀行でも同様の動きが見られるでしょう。

副業や兼業の行くつく先の理想としては「リクルート」のように社内でベンチャー企業が次々に誕生し、母体となる会社自体を盛り上げる事だと思うので、副業と兼業の解禁が銀行に取っていい方向に傾く事を願うばかりです。

ただ銀行員の方は終身雇用が当たり前でなくなった事を強く認識しておく必要があります。

 

銀行員の今後

今銀行で働いている人は「明日は我が身」と言う認識を常に持っておくべきです。

副業や兼業で銀行経営がうまくいかなければ、最終的にリストラされる可能性が高くなります。

 

最終的にリストラするかも知れないからサイドビジネスで備えておいてねと言うのが銀行の本音です。

これから先【甘い副業やビジネスの話】がどんどん銀行員を誘惑していくでしょうが、しっかりと自分で成功できるのかどうか見極めましょう。

副業や兼業のような二足のわらじを履いて成功できるのはほんの一握りです。

 

もしも兼業や副業で成功できる自信がない、自分の将来が不安だと言う銀行員はいつでも転勤できるように準備しておきましょう。

今出来る事は自分自身のリスク管理です。

 

銀行員のリスク管理に関してこちらをご覧ください↓

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銀行の副業・兼業解禁に対する世間の反応

Twitterで一通りの反応を見てみましたが、「結局のところ意味ない」「そんな事して大丈夫なのか」といった反応を示す方が多かったです。

今回この記事において、銀行員は今後どうなっていくのかの考察をしましたが、将来の予想は非常に難しく実際どうなるのかはわかりません。

ただ、僕の同期を含め、日本の銀行には優秀な人材がたくさんいるので、今後の日本の金融や経済が明るくなるのを楽しみにしておきたいと思います。

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